4者一体で食品トレーリサイクル#28/株式会社 エフピコ
株式会社 エフピコは、1962年に創業した簡易食品容器(食品トレー)メーカー。創業の地・広島県福山市と東京都新宿区に本社を置き、グループ従業員約4500人を抱える企業だ。いち早く食品トレーのリサイクルを進め、現在では約3割がリサイクル商品となっている。
CO2排出量は約3割減
リサイクルに取り組み始めたのは1990年。「当時はごみの最終処分場不足が問題となっており、このままでは食品トレーの生産にも影響が及ぶという危機感から創業者の小松安弘が商品のリサイクルに取り組むことを決めました」と環境対策室ジェネラルマネージャーの冨樫英治さんは話す。
現在は9200カ所以上に当たり前のようにある食品トレーなどの回収箱だが、当初はたった6カ所のスーパーマーケットでスタートした。
今では、順調にリサイクルが進み事業化できているが、スタート時は苦労もあった。回収には、消費者とトレーユーザーであるスーパーマーケットなどの協力が必要不可欠であるが、当時はトレー回収の習慣がなく、不適品も多かった。
それでも東日本、中日本、西日本の3カ所にリサイクル工場をつくり、再生事業を本格化。1992年には業界初のエコマーク認定を取得した「エコトレーⓇ」を発売する。回収量を増やすとともに、リサイクル製品の販売を拡大していった。
同社グループは、回収した使用済みの食品トレーやペットボトルを原料に戻し、再び食品トレーをつくる「トレーtoトレー」「ボトルtoトレー」のリサイクルを行っており、新しい原料から食品トレーをつくる場合に比べて、二酸化炭素(CO2)排出量を約3割削減させている。
「エフピコ方式のリサイクル」の特長は「4者一体」。4者とは、消費者、トレーユーザー、包材問屋、エフピコを指す。消費者は使用済みトレーの水洗いと乾燥、トレーユーザーは回収、包材問屋は配達の帰りのトラックでの運搬、エフピコがそれを引き取り再生するという役割分担である。各者の理解と協力が何より大切と考え、スーパーマーケット店頭用の環境ポスター提供や、消費者の工場見学も積極的に受け入れる。今後も周囲の協力を得ながらリサイクルを推進する考えだ。
こぼれ話
同社は障がい者雇用にも積極的に取り組んでいます。2019年3月末時点の障がい者雇用率はなんと13.6%(2018年民間企業平均:2.05%)。またそのほとんどが基幹事業である食品トレーの製造・販売事業、リサイクル事業で働いているといいます。食品トレーのリサイクルを進め社会に貢献するだけでなく、このようなところにも社会とともに調和し、歩む同社の姿勢が現れている気がしました。
ラグビーと阪神タイガース、日本酒をこよなく愛しています。
ドラマ「スクールウォーズ」が流行った世代で、高校時代はもちろんラグビー部に所属。休日はラグビーや阪神タイガーズの試合を見ながら、日本酒を飲んで過ごすことが多いです。