電気はバランスが肝要 需給をそろえる「同時同量」
電気はその性質上、貯めることが困難だ。電気の貯蔵法はバッテリー(蓄電池)を利用するか、あるいは電気が持つエネルギーを位置エネルギーに換える揚水式発電(下段「チェックワード」)などがあるが、いずれも日本中の電気需要を賄うにはほど遠い。
そこで電力会社は常に、消費者の需要に合わせて発電量を調整しながら電気を供給している。このように、使う電気とつくる電気の量を合わせることを「同時同量」という。
同時同量で電気をつくるのには理由がある。それは、電気の需要と供給のバランスが崩れると、発電所がつくる電気の周波数に変化が生じ、最悪の場合、大規模な停電が起きるからだ。
不足も過剰も、どちらも不可
昨年の北海道胆振東部地震で発生した大規模停電(ブラックアウト)も、大型の発電所が停止したことで需要が供給を上回り、周波数が低下したのが発端だった。通常は周波数が1〜2ヘルツ低下すると、その発電所は故障を防ぐために自動的に発電システムから外れ、不足分は強制停電によりバランスを保つように設計されているが、その防御機能がうまく働かず、結果的に北海道全域で停電する事態となった。
電力会社は、需要と供給のバランスが崩れぬよう、消費者の需要量を予測して発電を行うが、需要を完全に予測することはできないため、瞬間的に発電量を増やすこともある。
電気を不足させることはできない。しかし、つくりすぎは無駄になり、それが過剰なら供給不足の状態と同様にバランスが崩れ周波数変動が起きてしまう。電力会社は需給バランスを保つことに細心の注意を注いでいる。
▼チェックワード
【揚水式発電】 需要が少ない時間に余剰電力で水をくみ上げ(位置エネルギーへ変換)、必要なときにくみ上げた水が落下する際のエネルギーを活用する発電方法のこと。
※ イラストは『イチから学ぼう デンキのキホン』(編集 日本テクノ)より。
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