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  • 東日本大震災から復興への歩みをみせる被災地の企業や日本テクノの取り組み

世界最大級の水素製造拠点など未来につなぐ復興、これからが本番Scene 37

 地震、津波そして原発事故で町内全域が避難対象となった福島県双葉郡浪江町。東日本大震災による壊滅的な被害を受けたこの町に、再生可能エネルギーを使い水素を製造・貯蔵する世界最大級のプラント「福島水素エネルギー研究フィールド」の建設が決定した。1万kWの水素製造装置を太陽光発電などで稼働し、年間最大900tの水素を製造する。電力系統の需給バランス調整など実証運用が2020年度から開始される予定だ。
2020年度の実証運用を目指す「福島水素エネルギー研究フィールド」の建設模型。2020年度の実証運用を目指す「福島水素エネルギー研究フィールド」の建設模型。

2020年度の実証運用を目指す「福島水素エネルギー研究フィールド」の建設模型。

 2017年3月に町民約8割が住んでいた地区の避難指示が解除され、2018年7月末現在527世帯の805人が戻ってきた。だが避難中の人を含めた町の人口は約1万8000人。大半はまだ帰還がかなわず本格復興期はこれからという時期、水素製造のプロジェクトは町再建のシンボルとして期待がかかる。
 復興活動に対し、浪江町はまず理念の策定から始めた。1200人の子どもにアンケートを実施し、その結果も踏まえ「みんなでともに乗り越えよう私たちの暮らしの再生に向けて〜未来につなぐ復興への想い〜」の旗印を決めた。
 理念を胸に復興活動にいそしむ町役場の職員も、ほとんどが避難地からの通勤。日本全国に点在する避難者に向けては420人超の町民インタビュー「浪江のこころ通信」を広報誌とともに配布、福島県内には3カ所の交流館を開設、オリジナルアプリを開発しタブレット端末で「きずなの維持」を進めるなど精神的な支援を継続している。

地震・津波・原発事故…全町民が避難対象となった町

 同時に取り組むのがインフラ整備。除染は基準値以下になるまで何度も繰り返す。道路や鉄道、町内外の公営住宅なども徐々に復旧や整備が進む。一次産業では、水稲での安全性確認、花き栽培の推進、漁協も試験操業中だ。2016年10月には、町役場のとなりに仮設商店街もオープンした。プレハブだが、レンガ模様の壁紙を貼り、テラス席を設けるなどぬくもりを感じさせる心遣いも忘れない。
 目標は「2035年に8000人」。町職員は何が必要で、どうすればスムーズに帰還できるかを常に考え実行してきた。だが、何年も人が住まない建物は荒廃が進み、除染を終えていない山間部もある。課題はまだ山積みだ。
 それでも、大規模水素製造の拠点として、原子力に依存しないエネルギー地産地消のまちづくりを目指す道筋は見えた。無人航空機用滑走路建設が決定するなど最先端技術の活用拠点としても期待は高まる。浪江町の復興はこれからが本番だ。

町役場に隣接する仮設商店街。中央にテラス席が設けられている。

こぼれ話

全町民避難が何年も続いた浪江町役場に訪問したきっかけは、環境市場新聞の人気企画の「おばあちゃんの知恵袋」です。浪江町の広報誌でも同様に被災地での生活に役立つ情報提供をされているとのことでした。
街並みがどうなっているのか不安もありながらの訪問でした。確かに人が住まなくなった建物の朽ち方は、住みながらの老朽化とは異なる印象を受けました。しかし、町役場の方々ははきはきと前向きでした。世界最大規模の水素工場や帰還される方々のペースが想定より早いなどの明るいニュースが出始めたのは、この方々の働きから生まれてきたのだと実感しました。復興はこれからであり、多くの困難が待ち受けているようでありますが、きっと乗り越えて、すばらしい街の再興を実現されるでしょう。

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