中小企業のSDGs

企業の事業内容に沿って、どのようなSDGsの目標達成が図れるのかを解説していく

【第18回】ワクワクする挑戦で環境・社会に貢献

企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成を考える本コーナー。今回は食品製造・卸売業のSDGsに関する取り組みを紹介する。

 

 前身の会社から数えて70年以上、山梨県内に広く学校給食の提供などを行う甲信食糧株式会社。地域の食材を知り理解を深めてもらうため、学校への出前授業などを行う食育活動「知産知消」をはじめ、石和温泉の温泉水で育て、タレに甲州ワインを入れた「温泉ワインうなぎ」の商品化に取り組むなど地域に根付いた活動を進めてきた。
 最近では甲信地域を飛び出し、自然災害の被災地でのボランティア活動やカンボジアで不足している学校を建設し寄贈する支援事業の実施など活動エリアを国内外に広げている。

地元の甲信地域だけでなく活動エリアを広げたSDGsに取り組む。


 代表取締役の中込武文さんは「SDGsという言葉が定着する前から地域に貢献し、豊かな地球環境を後世に残すためさまざまなことに取り組んできました。そうした活動を続けていると徐々に視野が広がります。その結果、海外にも目が向くようになり、教育の機会が奪われていると聞くカンボジアの子どもにも手を差し伸べたいと学校の建設を進めたのです」と話す。

代表取締役の中込武文さん。

 

 現在力を入れているのは「エネルギーの地産地消」だ。すでに東日本大震災の直後から太陽光発電は採用していた。そのうえでさらなる環境負荷軽減を実現しようと2015年に地中熱を活用した流通センターを開設した。
 2024年には魚の加工を行う新設の甲府工場で、空調や給湯などのエネルギー源に、地中熱と排水熱を使うシステムを導入。そうしたGX(グリーントランスフォーメーション)の推進でエネルギー利用効率は劇的に向上。年間二酸化炭素(CO2)排出量が従来比約60%減、消費電力は約75%減が実現した。脱炭素への寄与と自社の成長に資する経済性がもたらされた。
 「考えてみればこれらの活動は自分たちがワクワクできる挑戦ばかりでした。それが環境保全や社会貢献につながっている。これからもどんどん挑戦を続けていきます」(中込さん)

屋上に熱交換設備を設置している甲府工場。

 

 なお、同社では脱炭素のノウハウを知りたいという企業に向け、工場見学を受け付けている。詳細は以下より同社ホームページをご覧いただきたい。

こぼれ話

 甲府から身延線に乗り換えて約20分の常永駅からさらに歩くこと約20分。甲信食糧さまは山梨県中央市にある山梨県流通団地に本社を構えています。富士山が近かったです。
 中込さんはいろんなアイデアを思いついては事業に取り込む方で、記事で紹介した「温泉ワインうなぎ」に始まり、「甲斐ワインとらふぐ」山梨大学と共同で研究した「サンゴ放線菌を使用した農法事業」「山梨県産マカを使った商品開発」など、多くのオリジナル企画を進めてきました。その根底には一貫して「おもしろいと感じたことを軸に、さまざまな挑戦を楽しむ」という中込さんの経営哲学があるのだと感じられました。実際、お話を伺う中でその旺盛なバイタリティを随所に感じました。
同社が取り組むGX(グリーントランスフォーメーション)についても、取材の際に「他社の参考になるのであれば、ノウハウの公開は惜しまない」とおっしゃっていただけました。興味のある方はぜひお問い合わせをしてみてください。

関連記事一覧