サステナブルノート

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COP31の注目ワード!「電化率」ってなに?


2026年11月9日~20日、トルコ共和国にてCOP31(国連気候変動枠組条約第31回締約国会議)が開催されます。前回、2025年にブラジルで開催されたCOP30では「ベレン・ポリティカル・パッケージ」が採択。CO2削減目標の強化やパリ協定の1.5℃目標に対する認識、途上国向けの適応資金について協議されましたが、一方で産油国などの反対を受け、非化石への転換に向けた行程表の策定は合意に至りませんでした。今回のCOP31ではグリーン産業化や気候変動に強い都市・建物づくり、廃棄物ゼロとメタン削減についてなどがグローバル実施目標として話し合われる見込みです。このコラムでは、焦点になると目される「電化率」について解説します。

【目次】
・電化率とは
・世界と日本の電化の状況
・脱炭素電源の開発と両輪で進めることが不可欠


電化率とは

電化率とは、「最終エネルギー消費に占める電力の割合」(家庭で生活するために消費したエネルギーや工場での生産、交通機関を動かす動力が電力である割合)のこと。パーセンテージは「電力消費/最終エネルギー消費×100」で求められます。
たとえば一般家庭で見てみると、電化されているのはエアコンや照明、家電製品など。一方、給湯や暖房、調理には都市ガスやLPガスを使用していることが多く、電化されていません。産業部門においては、電気で機械を動かすことも多いものの、金属を溶かしたり素材を焼いたりと「熱」を必要とする工程では大きなエネルギーが必要となるため、石炭やガスを使用している割合の方がまだまだ多いのが現状です。これらを電化していくことで、日本のように化石燃料が自国で生産できない国にとってはエネルギー安全保障の強化という側面にも期待されます。もちろん、温室効果ガスの削減にも大きく寄与するものでもあります。
今年5月、パリ協定の1.5℃目標の達成のためには、2035年までに電化率35%、50年までに50%を達成することが必要であるとの報告書が国際再生可能エネルギー機関(IRENA)より公表されました。それを受け、COP31の開催に先駆けて6月にドイツで行われた実務者協議で、電化率を2035年までに35%まで引き上げる目標が提案されたのです。そしてCOP31開催直前の9月、国際エネルギー機関(IEA)も電化率引き上げに関する特別報告書を公表。この流れを受け、COP31で電化率35%目標が国際的に定められれば、各国における施策も加速していく可能性があります。

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世界と日本の電化の状況

電化率の世界平均は20.6%。北米や西欧、アジアなど、電力インフラの整備が進んでいる国で高い傾向にあり、反対に中東やロシアなどのエネルギー資源が豊富な国では10%以下と低い傾向にあります。

そのなかで、実は日本は世界トップクラスの30.0%(「エネルギー白書2024」より。2025年現在の最新数値は36.0%)。戦前の早い段階から全国的に送電網が普及し現代においては電気の普及率100%であること、家電製品の普及が進んでいることなどが理由として挙げられます。

また、鉄道網の電化率が世界上位(約67%)であることも大きな要因です。鉄道といえば日本においては「電車」とほぼ同義ですね。特に大都市圏では鉄道はほぼ100%電気で走っています。乗車率などの都合により架線のインフラ整備・維持が難しい地域の鉄道はディーゼルなどが動力源。CO2排出量が多いため、蓄電池や、水素と燃料のハイブリッド車両への切り替えが進んでいます。ただ、電車(新幹線含む)以外の交通、車や飛行機、船舶については今もガソリンなど化石燃料が主流であるため、交通網全体の電化率は約3%と非常に低いのが現状です。

部門別電化率(日本)

部門電化率特徴
業務部門
(オフィスや商業施設)
約50~60%照明や空調、パソコンなどのOA機器がメインのため電化率が高い
家庭部門約50~53%家電や空調は電気だが、給湯や調理はガスが主流
産業部門約25%モーターで動かす機器は電化が進むが、熱利用の際は化石燃料が主流
運輸部門約2%自動車やバス、トラックにおいてガソリン・軽油が中心。鉄道、EVを除くと電化率は低い


ちなみに、鉄道の電化率がほぼ100%なのはスイスとインド。スイスは山岳地帯が多くパワーのある電気が必要であり、水力発電でそれをまかなうだけの発電が可能なため。インドは急速な経済発展にともない、国策として主要路線の電化を推し進めたためです。

電化が進んでいる日本は、各メーカー製品の省エネ性能においても高度な技術を誇ります。今後世界平均20.6%の電化率を目標の35%まで引き上げた場合、省エネに強い日本製品への需要も高まりそうですね。

関連リンク」

サステナブルノート(2025年12月10日)
持続可能な航空燃料「SAF」に注目!
https://econews.jp/knowledge/sustainable/16104/




脱炭素電源の開発と両輪で進めることが不可欠


最終エネルギー消費には電力のほかに都市ガス、ガソリン、石油、石炭などがあり、このうち電力や都市ガス、ガソリンなどは、使用に適したかたちに加工された「二次エネルギー」と呼ばれます。最終エネルギー消費として電力を使用したとしても、発電の過程で石油や石炭といった化石燃料を使用している場合、その電力はクリーンなエネルギーとはいえません。電化によってCO2排出量削減をめざす場合、脱炭素電源の普及拡大が欠かせません。エネルギー資源を輸入に頼る日本では、その割合はようやく30%に届いたところ。再生可能エネルギーの主力電源化や火力発電所の低炭素化(あるいは段階的な廃止)、そして原子力発電の最大活用など、あらゆるアプローチが求められます。
ただ、電化率が高いことのデメリットとして、災害時を含め停電が発生した場合のリスクは忘れてはいけません。非常用電源の整備や早期復旧システムの構築、エネルギーの多様化といったリカバリー機能を十分に備えることも、あわせて進められていくべきでしょう。
また、送電網の整備が行き届いた日本と比較して、インフラが未発達な国や地域では電化率の引き上げは容易ではありません。COP31で国際的な目標として定められた場合、新興国に対する支援なども協議されるものと思われます。世界の環境方針に影響を及ぼすCOPでの話し合いから目が離せません。

関連リンク

サステナブルノート(2024年6月12日)
特集/第7次エネルギー基本計画――第7次改定の論点とこれまでの変遷
https://econews.jp/knowledge/sustainable/11597/



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