Vol.1 一時的な避難の場「防災公園」/都立木場公園

地震や台風による火災や水害などから住民を守るため自治体が備える防災施設を紹介していく。今回は災害時の一時的な避難の場となる「防災公園」。平時は多くの人が憩う都立木場公園もその1つだ。
東京都江東区にある都立木場公園は1992年に東京都の地域防災計画に沿って防災公園の指定を受けた。防災公園は1995年の阪神・淡路大震災を契機に全国で整備が本格化したが、東京都ではそれ以前から取り組みを進めていた。
東京都には現在、63ヵ所の防災公園がある。そのうち1.5ヘクタール以上の場所は「大規模救出救助活動拠点」の候補地で、災害時には自衛隊・警察・消防のベースキャンプとしてヘリコプターの離着陸も行われる。公園以外に広大な河川敷もあり、都内の候補地は木場公園を含め35ヵ所になる。
木場公園周辺は、東京湾にほど近く江戸時代から運河を利用した「材木のまち」として栄えた。昭和40年代になると木材需要の増加や木場の住宅地化を受け、木材関連業者の加工場や木材置き場が湾岸エリアの新木場に移転。これを機に森林公園が整備された。
公益財団法人東京都公園協会公園事業部の堀田直也さんは公園の特徴を「芝生広場やバーベキュー場、ドッグラン、テニスコート、イベント広場などが揃う木場公園は、近隣住民の憩いの場になっています。敷地の一角には東京都現代美術館もあり、休日には遠方からも多くの人が訪れます」と話す。周辺には昔ながらの住宅地やマンションも集まる。防災力強化が不可欠なエリアだ。
災害時に被災者が身を寄せる場所は大きく分け「避難場所」と「避難所」の2種類があり役割が異なる。防災公園をはじめとする「避難場所」は、被災者が火災などの危険から一時的に逃れて身を守るための場所。被災者はここで情報を収集し、自宅に戻れない状況と判断したときには「避難所」での避難生活に移る。
防災公園には災害時に役立つさまざまな設備が揃う。例えば木場公園では普段はベンチ、災害時は「かまど」になる、かまどベンチがある。マンホール型災害用トイレはマンホールのふたをはずしてテントを設置すると簡易のトイレになる。テントは被災者自身が簡単に設営できるシンプルなつくりだ。
ここでは江東区の防災訓練に加え、近隣の学生を対象とした勉強会、公園主催の「防災フェスタ」を年に1回開催するなど、防災意識の普及啓発も図っている。災害用トイレのテントの組み立て方や応急救護の方法など、いざというときに困らないための知識や情報を提供する。
「災害時には自助・共助・公助が大切です。まずは周辺の施設や設備にどんなものがあるのか知ること。それが命を守る行動につながります」と堀田さん。普段見かける公園にも災害の備えがあるかもしれない。一度は確認をしておきたい。
木場公園にある主な防災設備
・非常用発電機
稼働容量は3日間(72時間)。ヘリポートの照明灯などにつながり、救助活動を支える。
・ヘリポート
多目的広場がヘリコプターの離着陸場所となる。緊急車両が出入りするため出入口も広いスペースを確保している。
・防災用照明灯
非常用発電機とつながり、夜間の救助活動時に点灯する。ソーラーパネルを備えた照明灯もある。
・広域避難場所表示灯
停電時でも被災者に「広域避難場所」の位置がわかるよう夜間点灯し、目印となる。
・かまどベンチ
ドーム型の座面をはずすと薪スタンドが内蔵されており、かまどになる。煮沸消毒に利用したり、手洗いや体を拭くための温水をつくったりする。公園内に6基備えられている。写真①
・マンホール型災害用トイレ
マンホールのふたをはずして上にテントを設置する仮設トイレ。公園内に38ヵ所のマンホール穴が備えられている。
・災害救援自動販売機
内部のスイッチを切り替えることで飲料が無償で提供される。
・揚水ポンプ
地下の受水槽に水をため、トイレ用水や生活雑用水を確保。災害時には被災者がポンプを押して水をくみ上げる。写真②
・デジタルサイネージ
災害時にディスプレイを広場に設置して、災害情報を発信する。NHKのニュース番組も流す。
・防火林とスプリンクラー
公園の外環には周囲からの火災の燃え広がりを防ぐため水分含有量が多く燃えにくいクスノキやツバキが植えられている。


写真①かまどベンチ 写真②揚水ポンプ
こぼれ話
環境市場新聞 84号から新企画として「チェック 防災施設」がスタートしました。今回、第一弾として訪問した都立木場公園。防災公園として災害時に必要なさまざまな設備が揃っていますが、普段はもちろん人々が集い、楽しむ場所。見どころがたくさんある公園でした。
約24ヘクタール、東京ドーム約5個分の広さをもつ木場公園。公園は南エリアと北エリアに分かれていて、その境目に葛西橋通りという大きな道路と、それに平行して仙台堀川が流れています。北エリアの一角にあるのが「北の冒険広場」。2025年のリニューアルでユニバーサルデザインの遊具が導入されました。(写真 1)からだを横たわったままでも乗れるブランコや、スロープを使い車椅子に乗ったまま頂上まで行ける遊具。音や光を遮断して落ち着けるカームダウンスポット。これらは、障がいの有無や体力の違いがあっても楽しむことができる遊具。遊具の周りもやわらかくクッション性のある地面で、子どもが思いっきり走って転んでしまっても衝撃を和らげてくれるつくりになっています。
続いて公園の南と北をつなぐ木場公園大橋は公園のシンボル的な存在。橋の上からどちらのエリアも一望でき、橋の南側に立つと、ちょうど橋の真ん中に東京スカイツリーを見ることができます。(写真 2)


(写真 1)ユニバーサルデザインの遊具。広めのスロープがあるので、
車いすに乗ったまま遊具を周回できる。
(写真 2)木場公園大橋から見える東京スカイツリー。
直線距離で4㎞弱なので、一日でどちらを楽しむこともできそう。
そのほかにも四季の草花や緑も豊富。今回取材に対応してくださった堀田さんも「桜の季節はとくに美しい景観です。周辺にはおしゃれなカフェもたくさんあるのでぜひまたいらっしゃってください」とおすすめいただきました。季節ごとの楽しみ方に出会えるスポットです。




























































