【第1回】目指すゴールは自社事業の中に
最近、耳にする機会の多いSDGs(エスディージーズ)という言葉。大企業では経営目標に SDGs を組み入れるケースが増えているが、中小企業では「うちには関係ない」と当初から否定されてしまう場面も少なくない。しかし、企業運営を子細に見ていけば、実は事業そのものの中に SDGs が包摂されている会社は多い。実際、事業を運営する中で生じる業務改善、時間短縮、効率化の徹底といった取り組みは、SDGs との親和性が極めて高い。
今回から連載を開始するこのコーナーでは企業の事業内容に沿って、どのような SDGs の目標達成が図れるかを事業別に解説していく。初回は、日本テクノのサービスを例に、電気の「見える化」「理解る化」を活用することが、SDGs 達成にどう貢献するかを紹介する。
日本テクノの電力コンサルティングビジネスの要諦は、目に見えない電気を「見える化」「理解る化」することで、改善意識を醸成し、行動していく点にある。そのためにお客様と営業担当が、二人三脚でさまざまな改善に取り組むというビジネススキームだ。
サービスを利用する側は取り組みを通じて、「使用電力量」と「デマンド値」が低減され、電気料金が改善することになる。また活動の方法にもよるが比較的多く見られるのが、従業員が電力の効率的な使用に配慮し、「業務の進め方を工夫する」ようになるという副次的効果である。
これがどのように、SDGs に関係するのか。まず17あるSDGs の目標で、エネルギーに関連するのはゴール7の「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」である。ゴール7の3に掲げられた項目は「2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる」であり、まさにこれに沿った取り組みといえるだろう。
さらに使用電力量を減らすことは、それだけ発電時の二酸化炭素(CO2)排出量を削減することにもつながる。これはゴール13の「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」に通じる取り組みである。
そして電力使用の効率化を通じ、業務改善や高付加価値化が図れたという副次的効果が生まれれば、それはゴール9の「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」の達成に貢献することになる。このように、業務に関連した改善の取り組みを見ても、SDGs の達成に通じるケースは多い。次回以降は、具体的な業種を挙げ、
SDGs との親和性を見ていく。
SDGs 豆知識 ①
SDGs は Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)の略称で、国連が提唱している概念だ。
①普遍性(先進国を含め、すべての国が行動)
②包摂性(人間の安全保障の理念を反映し「誰一人取り残さない」)
③参画型(すべてのステークホルダーが役割を持つ)④統合性(社会・経済・環境に統合的に取り組む)⑤透明性(定期的にフォローアップする)──の5つの特徴を持つ。
世界には環境も文化も経済力もさまざまな国が存在するが、そうした多様性を加味したうえで、皆が等しく公平で、透明かつ持続可能な社会を構築するのが SDGs の目的である。
記事一覧
- 中小企業のSDGs【第2回】製造業 持続可能な未来は事業の延長線上に
- 中小企業のSDGs【第3回】卸・小売業 SDGsへの関連づけと「伝える」大切さ
- 中小企業のSDGs【第4回】重要な要素 「理解」── 取り組みに欠かせないもの
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