【第10回】省エネチャレンジでポイントがたまる「ぎふ減CO2(げんこつ)ポイント制度」/岐阜市

家庭部門、運輸部門の温室効果ガスの排出が多い

 岐阜市は2011年に岐阜市地球温暖化対策実行計画を策定し、早くから脱炭素の取り組みを進めてきた。2019年現在の温室効果ガス排出量は基準年である2013年比で14.2%減の174.4万t-CO2となっている。

「細かく内訳をみていくと当市は家庭部門と運輸部門で排出量の占める割合が高いという特徴があります。そのため、この部門への対策が重要になります」(岐阜市脱炭素社会推進課 係長 児島泰輔さん)

 現在、同市が進めるのが家庭部門への太陽光発電設備の設置だ。岐阜市は年間の平均日照時間が2000時間を超え、日照時間で全国上位に入る自治体。その特長を活かし、再生可能エネルギーの導入量を2030年まで2021年度比約1.8倍まで拡大したい考えだ。また、運輸部門では公共交通機関など環境に優しい交通の利用促進や次世代自動車の普及促進を積極的に進めている。

 

岐阜省エネチャレンジ市民運動「ぎふ減CO2ポイント制度」

 さらに、市民のライフスタイルに変革を促す同市独自の取り組みがある。それが「ぎふ減CO2ポイント制度」だ。電気、ガスなどの使用量を減らすまたは維持する、バスなどの公共交通を利用する、岐阜市地球温暖化対策推進委員会が主催または認めた環境学習等を受講するといった行動を実践した参加者がその証拠を提出するとポイントが付与される。参加者は貯めたポイントで協賛企業が提供する省エネ啓発品へ応募できる仕組みだ。2016年に制度を開始し、参加者数は徐々に増加。2021年度には開始当初比で約1.5倍となる31,555人が参加した。

「本制度は家庭からのCO2排出量が多いという本市の特徴を踏まえ、他自治体の取り組みなども参考にしながら導入しました。活動当初は認知度が低く、なかなか取り組みが普及しませんでしたが、地域の公民館での温暖化対策講座の実施や地元企業への協賛呼びかけなどを続けてきて、約10%の市民にご参加いただいています」(児島さん)

 自治体、市民、そして事業者も一体となった取り組みだが、今後は省エネ啓発品ラインナップの拡充などを図り、さらなる省エネにつなげたい考えだ。

「ぎふ減CO2ポイント制度」で当たる省エネ啓発品(ぎふ減CO2ポイント制度サイトより)

 

こぼれ話
 岐阜市は大規模な工場が少なく、産業部門における温室効果ガス排出量削減の上積みが厳しいため、必然的に市民の行動およびライフスタイルの変容を図る取り組みが重要になります。それを形にしたのが省エネチャレンジ市民運動「ぎふ減CO2ポイント制度」です。実は「減CO2」を合言葉に省エネに取り組む自治体は他にもあります(福岡県など)。ただ、岐阜市の取り組みが最も早かったためこちらにお話を伺いました。
 最近では環境省が二酸化炭素(CO2)を減らす(DE)脱炭素(Decarbonization)と、環境によいエコ(Eco)を含む”デコ”と活動・生活を組み合わせ「デコ活」という言葉を使っています。また東京都では「HTT」(電力をHへらす・Tつくる・Tためるの頭文字)というキーワードを使い、脱炭素とエネルギーの安定的な確保を促進しています。キャッチーなフレーズを採用することで官民一体となって脱炭素を進めたいという行政の思いがよく伝わりますね。そんな行政の先駆けとなる事例でした。

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