身近な電気のおはなし

【キッズ向け】生活に欠かせない電気のことをやさしく解説します

水力発電ってなんだろう?

水力発電とは、水が高いところから低いところへ落ちる力を利用して水車につながった発電機を回して電気に変換する発電方法です。水が流れる力を使っているので、環境にやさしいことが特長で、山や川などの水源が多い日本には適した発電方法です。日本初の水力発電所ができたのは1891年。初稼働が1887年の火力発電所の次に長い歴史があります。

蹴上発電所(商業用として初めての水力発電所)

1891年に京都市営電気事業が蹴上けあげ(京都)に水力発電をつくり、運転を開始した。当時、琵琶湖(滋賀県)から水路(疎水)を引いたばかりで、それを有効活用したいという背景があった。人々の電気使用量増加にあわせて発電設備の増設などを行い、現在も年間約1500万kW(一般家庭約5000世帯分の年間電気使用量)もの電気をつくっている。

目次
水力発電のメリットとデメリット
発電の仕組みと種類
今後の水力発電

水力発電のメリットとデメリット

メリット
水流や水量を変化させることで発電量をコントロールできる
ある程度の落差と流水があれば発電ができ、水車を設置できる範囲も広い
他の発電方式に比べるとコストが安く、短時間で起動・停止が可能
電気が余る時間帯に電気の力で水を汲み上げておくことで疑似的に電気を貯められる発電方式もある
デメリット
多くの場合はダムを建設する必要があり、周囲の自然環境に影響を及ぼす
山間部などの遠隔地に建設されるため、建設費用や送電コストがかかる
降水量の減少などで貯水量が減ると発電量が少なくなる
大雨などで川が濁流になると、水があっても発電を止める必要がある

水力発電は、水さえあれば発電できるため資源が潤沢で枯渇する心配がなく、再生可能エネルギーのなかでも比較的安定して発電ができます。また、水門の開け閉めで人為的に水量をコントロールするため、需要に合わせて発電量を柔軟に変化させることができます。
一方で、水は太陽光や風力などと比べれば安定的に使うことができるものの、自然の力を活用するため天候に左右される面もあります。極端な少雨で川の水位やダムの貯水率が下がってしまうと発電量が減少します。かといって雨が降ればいいというものでもなく、大雨や台風で雨が降りすぎて川が濁流になった状態で発電をすると土砂で発電機を傷つけ故障の原因となってしまうため、発電を停止しなくてはなりません。

発電の仕組みと種類

構造による分類

水路式

川の上流に堰堤えんてい(水をせき止める建設物)を作り、そこから取り込んだ水を長い水路で落差があるところまで運んで発電に利用する。

ダム式

高く切り立った山や岩の間にある河川でダムを造り人工の湖にして、その落差を利用して発電する。ダムは水が貯められるため、水門の開閉で発電量のコントロールができる。

ダム式と水路式を組み合わせることで、水路で落差をつけることでより強い出力を可能にしながら、需要と供給に応じた発電量の調整ができる「ダム水路式」と呼ばれる方式もあります。

発電方式による分類

流れ込み式

河川の流れを止めることなく、発電に使用する。ダムを必要とせず、主に出力の小さい発電所で使用されている。水路式がほとんどで、同義で説明される場合もある。

調整池式

調整池とよばれる小規模のダムに河川の水を貯めておき、必要なときにだけ発電を行う。電力消費の増減に合わせて水量を調節しながら発電するため、夜間などの電力需要が低い時間帯には発電をしない。

貯水池式

調整池式と似ているが、より規模の大きいダムを使用する。水量が多く電力消費の少ない春と秋に水をためておき、冷暖房で電気の使用が多い夏や冬に使用するなど、長期の需要に合わせて水量を調節して発電する。

揚水式

発電所のある河川の上部と下部の2つのダムを使用する。電気の余っている時間帯に下部から上部のダムへと水をくみ上げておく。昼間など電力消費が多い時間帯に上部のダムから下部のダムに水を落として発電する。この他の発電ではダムや貯水池の水を河川に流すが、揚水式では2つのダム間で水を動かすことで発電を行う。

今後の水力発電

水力発電は、環境にやさしいだけでなく、他の発電方法と比べて最もエネルギー効率がよい優秀な発電方法です。そのため大規模な水力発電所に必要な大型ダムを建設したいところですが、日本国内のダム建設に適した場所はすでにダムが造られている(開発済みである)ため、新しく大型ダムを建設するのは難しいです。
そこで増やしたいと考えられているのが「小水力発電」です。10,000kW以下の水力発電で、川や用水路などの既存の施設を利用します。普及に向けて、補助金の交付も実施されています。ただし、河川や用水路の大きさによって設計が異なるため、建設費用が高くなる場合があること、発電の規模も小さいので設置費用を回収するまでの期間が長くなります。また、水利権(すいりけん)という水を使うにあたっての権利があるため、発電所を建設して水を利用するには多くの権利者と調整を進める必要があります。これらの点から、国からの補助金交付などの支援があるものの普及のハードルが高いのが現状です。
それでもカーボンニュートラル実現に向けて水力発電の拡大は必要不可欠。政府や地方自治体から、新たな施策が今後も増えていくと予想されています。今後の動向に注目してみましょう。

💡この記事のまとめ💡

水の落差を使う水力発電は、山や川の多い日本の地形に合った発電方法

資源が潤沢で枯渇する心配がなく、需要に合わせて発電量を柔軟にコントロールできる

エネルギー効率の良い発電方法だが、大型の発電所は新設が難しい

用水路などを使った規模の小さい「小水力発電」が注目されている

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