【第17回】優しさ、誠実、思いやりを大切に
企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成を考える本コーナー。今回は再生資源卸売業のSDGsに関する取り組みを紹介する。
古紙など資源物のリサイクルを行う株式会社こんの。福島県福島市に本社を置き、全国に8つの事業所を展開している。2021年からSDGsに力を入れ始め、17のゴールと照らし合わせて行動を振り返る「取り組みレポート」を、社員が自主的に作成し、4半期ごとにホームページで公開している。
紺野道昭さんが3代目社長に就任したのは2000年。創業以来最大の赤字が出ていた時期で、会社を立て直そうと経営学者や著名な経営者をたずね歩き、再建のヒントを求めたという。
「当時の私は給与を上げて福利厚生を充実させれば良い会社になる、と思っていました。でも、訪問を重ね、そんなに単純ではないと気づかされました。そこから経営の本質とは何かを必死で考え、出た答えが“社員が幸せな会社こそがよい会社である”というものでした。以来、社員が幸せになるにはどうすべきかを考え、実践しています」(紺野さん)
社員一人ひとりと向き合い、楽しく仕事ができるよう長所を見つけては評価する姿勢に変えると、社内も変化し始めたと紺野さんは言う。離職率は目に見えて下がり、売上・利益は伸長。週休2日で残業もなるべくしないで働けるよう、社員自らが労働環境を変えていった。さらに障がい者雇用に積極的に取り組み(社員171人のうち15人)、適材適所の配置で活躍の場を広げている。
クリスマスシーズンには社員とともに福島市内をサンタの格好で練り歩き、その後福島県立医科大学の小児病棟を訪問してプレゼントを届ける「サンタラン活動」(写真)を行っている。


これら一連の取り組みが評価され、2024年には公益社団法人環境生活文化機構の「資源循環活動賞」を受けた。
「SDGsは持続可能な経済成長のゴールであり、私たちの目指すところと同じだと感じ、事業に組み込もうと考えました。ただ、私が何かをやれ、と言って社員に強制するようなことはせず、具体的な取り組みは各事業部と社員に任せています。その結果、現在のような4半期ごとの取り組みレポートが出て来るようになりました。私が日ごろから社員に言うのは優しさ、誠実、思いやりを大切にしようということ。そうすれば会社は自然とサステナブルになると思っています」
サステナブルなエコロジー活動で社会に貢献する。その思いでこれからも同社はリサイクル事業に取り組む。

こぼれ話
本文では紙面スペースの都合上触れられませんでしたが、同社では研修にも力を入れています。社内でお花を習ったり、ミスユニバース出身の講師を呼んでマナー講習を行ったりと、さまざまな研修を随時開催しています。また、定期的に社員表彰を行い、働く皆さんの士気を高めています。2025年最初の研修および新年会では『社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』の著作がある香取貴信氏を招き、講演を行ったそうです。その後の新年会で紺野さんはディズニーと言えば何だろうと考え、ジャック・スパロウに扮し、会を大いに盛り上げたそうです。 楽しみながら仕事を進め、自身の見聞を広めて業務に活かしていく。社員の自主性を強く感じる取材でした。























































