風力発電
風力発電とは
風の力で風車を回し、その回転で約20%~40%の風エネルギーを電気エネルギーに変換できる。
主な風車の形はプロペラ型。細かく分類すると10種類以上の形がある。 発電風車(風力タービン)のほかに、機械的動力の粉挽き風車(ウインドミル)、 揚げ水や灌漑には揚水風車(風力ポンプ)、船の帆など。
日本では、安定した風力(平均風速6m/秒以上)を得られる北海道、東北の海岸部や九州を中心に、現在 約2,000基が稼働しており、1基当たりの発電能力は2,000kWの設備で年間約350万kWh。 一般家庭(年間電力使用量:3,656kWh)約950世帯分の年間使用量になる。
風力発電のメリット
- 燃料等が不要なためメンテナンス以外に費用がかからない。
- 新エネルギーのなかで最も発電コストが少ない(9~12円/kWh)
- 変換効率が良い(風車の高さやブレードの大きさにより変動)
- 風が吹けば24時間発電できる
- 温室効果ガスを排出しない
風力発電のデメリット
- 風速によって発電量に影響がでる。
- 騒音や低周波振動で健康被害の影響がある
- 風車のブレードに鳥類が巻き込まれてしまうことがある(バードストライク)
- 落雷による故障のリスクがある
- 地震で発電停止することがある
大きさ
地上風力発電用に建設されている場合、高いものでは100m以上。 洋上風力発電用は、さらに大きく180mを超える発電機もある。
発電の仕組み
風力発電機の上部にある羽の部分(ブレード)に風が当たると、ブレードが回転し 動力伝達軸を通じて「ナセル」に伝わる。 ナセル内では「増速機」(ギアボックス)を使って回転速度を上げ、 回転を発電機で電気に変換している。 発電された電気はタワー内部の変電設備を通り変電所に運ばれる。
仕組みの工夫
発電を効率よく行うために「ヨー制御」と「ピッチ制御」というシステムが設けられている。
ヨー制御:効率よく風を受けるために、風車全体の向きを風向きに合わせるもの。
ピッチ制御:発電出力を調節するためにブレードの角度を変化させて風速に合わせて風の受ける量を調節できるもの。
台風などの強風時にはピッチの角度を風向きと平行にし、風を逃がすことで停止する安全・制動装置の機能も備わっている。
帯電システム
落雷の際はブレードとナセル内部に高精度の避雷針が備わっているため、被害を減少できる。
洋上風力発電
洋上風力発電には、「着床式」と「浮体式」がある。
日本の近海は水深50mを超える海域が広がっており、発電設備を海底に固定する 「着床式」は水深50m以内に限られるため、設備を浮かせる「浮体式」に注目が集まっている。
福島県沖合では2MWの「浮体式」大型発電設備が稼働しており、海洋生物や漁業に影響があるか実証実験も進めている。
風力発電の固定価格買取制度の比較表
2015年度 | 2011年度 | ||||
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風力 | 20kW以上 | 20kW未満 | ※洋上風力 | 20kW以上 | 20kW未満 |
買取価格 | 22円+税 | 55円+税 | 36円+税 | 22円+税 | 55円+税 |
調達期間 | 20年 | 20年 | 20年 | 20年 | 20年 |
※建設及び運転保守のいずれの場合にも船舶等によるアクセスを必要とするもの。
人体や海洋生物への影響
音は空気中より水の中のほうが伝わりやすい性質をもつため、 海洋生物や鳥類への影響を心配したオランダのIMARES研究所チームは、 洋上ウィンドファームを研究対象とし近辺の海底生息動植物、魚類、鳥類、海洋哺乳類への影響を2年にわたり調査した。
他の調査とあわせると、影響は立地場所や水深などによってことなるが 一部の鳥類を除いて風力発電の悪影響はないと公表している。(2008年)
日本でも原発事故以前から、環境省が「浮体式」を長崎県五島市沖、 経済産業省が「着床式」を千葉県銚子沖と福岡県北九州沖に建設し、海洋生物や鳥類、漁場への影響がないか調査する実証試験が続けられている。
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