Eco Story

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未来は光でおもしろくなる──「光」技術で社会課題解決に挑む #48/ウシオ電機 株式会社

 半導体や液晶パネルの製造に欠かせない露光用ランプ、光学装置、ショービジネスを彩る映像装置など「光」の機能を最大限活用した製品で圧倒的な世界シェアを誇るウシオ電機株式会社(本社・東京都港区)。1964年の設立当初から理念に掲げる社会貢献の精神は今も社内全体に息づき、それが信頼や評価につながり、技術力向上や新規事業開発を導いている。
 光のプロフェッショナルとして、どんなソリューションを提供できるか常に考える。2020年代に入り、さまざまな社会課題に対して光による解決を目指し、新規事業推進プロジェクトを立ち上げた。数多くの企画が浮かび、今、環境分野の中では2つの取り組みを推進している。いずれも高いエネルギーを持つエキシマランプ(真空紫外光を発する光源)を物質分解に応用した技術だ。
 両テーマは新規事業開発部の大塚優一さん率いるプロジェクトチームで担当し、イノベーション・サポート部の大岩正人さんがリーダーを務めるチームでマーケティングを担う。1つ目のテーマは「PFAS(有機フッ素化合物)の分解」。PFASは半導体製造や撥水・撥油剤などに広く使われてきたが、人体への健康被害が報告され規制の進んでいる化学物質。PFASのうちPFOS、PFOA、PFHxSの3種は、すでに製造・輸入が原則禁止されている。
 自然界で分解できず環境残留性が高いPFASの除去や無害化が急がれていたが、高温焼却での温室効果ガス排出など多くの懸念がある。その課題に応えるため、真空紫外光を利用し、分子の構造上分解が難しい短鎖PFASまでも分解することに成功した。この技術は2025年度の環境省事業に採択された。2027年度中の実用化を目指し実証を進めている最中だ。

PFAS分解モデル



 もう1つのテーマは「一酸化二窒素(N2O)の分解」。地球を温暖化する力が二酸化炭素(CO2)の約300倍あるN2Oを分解・無害化できる技術を開発した。人為的排出によるN2Oの発生源は農耕地や排水処理場など。主に肥料や下水に含まれる窒素を、微生物が処理することで生成される。それを常温・常圧状態の低濃度でも1工程で処理する。高温処理や触媒、還元剤なども使わない。
 開発した技術はPFAS分解と同様、光化学反応のみでN2Oを分解できる。中規模程度の下水処理場で利用すれば、同時に処理できるメタンと合わせ年間725トン(CO2換算)の温室効果ガス排出を抑えられる計算だ。現在実証実験を進めており2030年の事業化を目指している。


N2O分解モデル



 マーケティングの大岩さんは「子どもたちに誇れる仕事です」と胸を張る。開発に携わった新技術が世の中に貢献していく情景を思い浮かべると気持ちが高まるという。開発部の大塚さんは「当社ではこれまで光によって数多くの課題を解決してきましたが、我々も気づいていないことがまだあると思います」と、さらなる可能性の探索に意欲を見せる。
 このように独自の技術に基づく社会課題解決ソリューションの開発に加え、サステナビリティ推進部門では非財務情報の積極的な開示、SBT認証の取得、GHG排出量データの第三者検証の受審などを推進し、網羅性、正確性の高いステークホルダーエンゲージメントを通して企業価値の向上を図っている。
 光技術で未来の社会課題解決に貢献することを使命とする同社。未来を光のイノベーションカンパニーが照らし出し、明るく輝くおもしろい場所にしてほしい。



こぼれ話

 ウシオ電機さんの事業である「光」。光が持つエネルギーによる化学反応を用いて、洗う、固める、殺菌する、分解する、加熱する……など、できることは多岐に及びます。光をあてることで、分子どうしの結合を切ったりつないだりすることで違う物質に作り変えるのだそう。文系出身の身としてはハテナマークがたくさん浮かんでしまいますが、身近な製品にも使われる紫外線(波長が短くエネルギーが強い)や赤外線(波長が長く熱を発する製品によく使われる)で考えると、筆者のような門外漢でもイメージがわきました。
 記事本文に登場するエキシマランプ(真空紫外光)は、紫外線の中でも特に波長が短く高エネルギーな光。製造・使用が禁止されている物質であるPFASの分解に際し、「研究段階の実験で分解しきれなかったPFASが流出してしまったら一大事ですので、細心の注意を払いました」とお話しになっていたのが印象的でした。考えてみればすぐに分かることですが、技術が確立されて初めて完全な分解ができた訳なので、そこに至るまで担当者の皆さんは神経を使っただろうなあとご苦労に思いを馳せました。
 ご対応くださった大岩さんと大塚さんに、インタビューの最後に事業に臨むモチベーションをお伺いしました。未来の地球環境のため、世の中のため、ご自身のお子さんのため……幅広い動機のなかでお二人とも「会社が大好きなのだ」と笑顔で語っていらっしゃいました。会社が大好きだから次なる事業を生み出したい!後進のために次の柱をつくりたい!光の技術でもっとたくさんのことができるはずだ!と楽しそうに話すお二人の笑顔を見ていて、筆者も心からワクワクしてしまいました。こんな素敵な社員さんがいらっしゃるウシオ電機さん。今後も業界を、世の中を、あっと驚かせる「おもしろい」技術をたくさん生み出してくれそうです!

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