• 中小企業のSDGs
  • 企業の事業内容に沿って、どのようなSDGsの目標達成が図れるのかを解説していく

【第3回】卸・小売業 SDGsへの関連づけと「伝える」大切さ

企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成について考える本コーナー。今回は17ある目標のうち卸・小売業と親和性の高いゴールを紹介する。

 日本の2020年の就業者人口約6676万人のうち、卸・小売業の従事者は約1057万人。全業種に占める人数は最多(15.8%)だ。この業種の大手はブランド強化やCSR(企業の社会的責任)の観点からSDGsの活動に積極的である。しかしそれに比べ、中小企業の動きは鈍い。
2018年12月に経済産業省関東経済産業局が発表した中小企業500社の経営者(うち卸・小売は101人・20.2%)へのSDGsに関する調査によれば、3割超が「何から取り組んでいいかわからない」と回答している(複数回答)。着手するきっかけがつかめないようだ。
だがそれは、現在行っている自社の事業活動を少しだけSDGsに関連づけて意識することで、解消が図れる。

卸・小売業の場合、事業の根幹になるのが仕入れ品の選定だ。例えば小規模スーパーや土産物店などが、いわゆるグリーン購入・調達として海のエコラベル「MSC認証」を受けたサステナブルな海産物を仕入れ販売すれば、ゴール14「海の豊かさを守ろう」につながる。
同様に他の商品もサステナビリティへの配慮で、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」やゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」の貢献になる。ただ、それが顧客にコスト負担を強いる場合には、工夫が必要になる。
また、ガソリンスタンドのようにそもそも仕入れ商品を自由に選ぶのが難しい業態もある。そうした場合に検討したいのが「社会貢献」だ。ガソリンスタンドであれば災害対策用に自家発電設備を備え、ライフライン確保のため一定程度の燃料を備蓄しておくことはゴール11「住み続けられるまちづくりを」やゴール3「すべての人に健康と福祉を」につながる。
直接の事業活動以外で環境対策を実施中の企業なら、十分SDGsへの貢献になる。クールビズ・ウォームビズ運動、車両運行時のこまめなアイドリングストップや消灯などは、ゴール12「つくる責任つかう責任」やゴール13「気候変動に具体的な対策を」に結びつく。

中小規模の卸・小売業がSDGsに取り組む際に重要なのは「これらの商品は環境によい原料からつくられています」「この施設は非常時の避難所として認定されています」という具合に「伝える」ことである。
お客様の支持はSDGs活動の推進力になる。それを糧に、SDGsはより積極的にビジネスに組み込まれ、さらに大きな支持が生まれる。そんな好循環から得られた広範なお客様の支持は、中小企業にとってかけがえのない財産になる。

SDGs 豆知識 ③

取り組みを進めるうえで、参考になるのが他社の具体的な事例だ。さまざまな中小企業のSDGs活動は経済産業省や環境省がわかりやすくまとめ公開している。掲載事例は多彩。活動のヒントが見つかるだろう。

経済産業省

「SDGsに取り組む中小企業等の先進事例の紹介」
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sdgs/sdgs_senshinjirei.html

「関西発SDGs貢献取組事例集」
https://www.kansai.meti.go.jp/2kokusai/SDGS/businessnetwork/jirei.html

環境省

「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」
https://www.env.go.jp/policy/sdgs/index.html

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