【解説】2024年度温室効果ガス集計結果を公表 実質排出量、10億トンを下回る
この記事のポイント
2024年度の日本の温室効果ガスの実質排出量は過去最低の9億9400万トン
部門別に見ると、商業やオフィスなどの「業務その他部門」のみ排出量が増加している
吸収量については前年比で150万トンの減少となった
2024年度温室効果ガスの集計結果を公表
環境省は2026年4月、2024年度の日本の温室効果ガス排出量を公表しました。排出量は二酸化炭素(CO2)換算(以下、同)で10億4600万トン。植林や都市緑化などによる吸収量が5230万トンで、それを差し引いた実質排出量(排出量から吸収量を引いた数値)は9億9400万トンになり、初めて10億トンの大台を下回りました。基準にする2013年度の排出量13億9400万トンと比べ28.7%(3億9950万トン)減少したことになります。
2013年度を基準とする2030年度の政府目標は46%減となっています。現状、全体として減少傾向は維持していますが、あと6年で17.3%削減する必要があります。さらにその後は、2050年の排出量実質ゼロのゴールも控えています。
【図】温室効果ガス実質排出量の推移

製造業の生産量減少などが主な要因
前年度から1.9%(2030万トン)減少した排出量は、統計開始の1990年以降で最も少ない数値です。主な要因は、製造業の生産量が減少しエネルギー消費量が減ったこと、原子力発電所の再稼働と再生可能エネルギーの拡大で電力の脱炭素化が進んだことなどがあげられます。
また排出量を部門別に見ると、生産の落ち込みで国内全体の減少量に影響した工場などの「産業部門」が3億3400万トン。前年度比で2.5%(850万トン)減となっています。トラック輸送のエネルギー効率や燃費の改善が進んだ自動車など「運輸部門」は1億8700万トン。同1.6%(300万トン)減となりました。電力の脱炭素化が影響を与えた「家庭部門」は同0.7%(96万トン)減の1億4600万トン。発電所や製油所などの「エネルギー転換部門」は同2.5%(210万トン)減の7910万トンです。
一方、前年比でわずかながら唯一増加したのは、商業やオフィスなどの「業務その他部門」。同0.2%(25万トン)増の1億6200万トンで、産業活動の回復によりエネルギー消費量が増加したと見られています。 さらに温室効果ガスの種類別では、9割以上を占めるCO2の排出量が9億7100万トン。前年度からは1.7%(1670万トン)の減少となっています。メタンは2790万トンで前年度比5.4%(160 万トン) 減。一酸化二窒素は1480万トンで同2.7%(41万トン)減。代替フロン等4ガス(HFCs、PFCs、SF6、NF3 )は3220万トンで同4.8%(160万トン)減。なお、増加が望まれる吸収量については同2.9%(150万トン)減となりました。
地球温暖化を招く温室効果ガスにはCO2のほかにも、メタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)、フロン類など複数の種類があり、それらのガスが温暖化をもたらす程度はガスの種類によって異なる。そのため、容易に比較できるようCO2を1としたときの比率を計算して単位を揃えている。用いるのは地球温暖化係数(GWP)。係数が28のメタンなら1トン排出されたときの換算値は28トン-CO2になる。メタンはCO2の28倍も温暖化をもたらすことを示す。ほかには一酸化二窒素の265、六フッ化硫黄(SF2)の2万3500などがある。
※本記事は環境市場新聞85号(1面)記事を編集・加筆して掲載しています。






























































